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最高裁判所第三小法廷 昭和34年(あ)599号 決定 1961年10月31日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人亀井正男の上告趣意は、事実誤認、単なる訴訟法違反の主張を出でないものであって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない〔なお、使途の決まっている金銭または有価証券の寄託を受けた場合は、所定の使途に使用されるまでは、これらの所有権は所有者に保留され、これを受寄者が所定の使途以外に使用すれば、横領罪を構成するものというべきである。(昭和九年(れ)一二七〇号同年一一月二二日大審院第一刑事部判決、刑集一三巻一五八八頁参照)〕。また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 石坂修一 裁判官 河村又介 裁判官 高橋潔 裁判官 五鬼上堅磐)

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